公開日 2025年02月21日
更新日 2025年02月21日
人工知能(AI)の急速な普及とデジタル革命の進展により、情報爆発の時代を迎えています。この情報伝達の要となるのが光通信ファイバーであり、その主材料であるシリカガラスの透明度を高めることで、より多くの情報を効率的に伝送することが可能となります。これまで、溶融状態のシリカガラスを0.2万気圧で圧縮し、急冷により固めると透明性が向上することは知られていました。しかし、それ以上の圧力をかけた場合にガラスがどのような構造になるのか、また透明性がどのように変化するのかを実験的に明らかにした例はこれまでありませんでした。計算による予測では、圧力を4万気圧まで上げることで、ガラスの構造が変化し、透明度が最も高くなるものの、それ以上の圧力では透明度が逆に低下すると予測されていました。
材料エネルギー学部・尾原幸治 教授が所属する研究グループは、実験的に約1万気圧までの圧力範囲でガラスを作成し、ガラスの構造や透明度を調べました。すると、計算で予測されていた構造の変化が0.8万気圧程度で生じ、透明度も最高になることが観測されました。本研究成果により、シリカガラスの透明度向上に必要な圧力が計算による予測値の約5分の1で済むことが実証されました。これは、光学材料や先端技術分野での新たな応用を切り拓くものです。
本研究成果は、2025年2月21日付で科学誌『NPG Asia Materials』に掲載されました。
▼詳しくはこちら