公開日 2025.02.02
2024年12月4日~12月10日の平日5日間にわたり、「高校生のための材料工学実験2024」を実施しました。
高校生向けに金属などの材料に興味を持ってもらおうという取り組みで、材料エネルギー学部と次世代たたら協創センター(NEXTA)で共同開催。
松江市内の4高校から23名の生徒が参加しました。
島根大学に2023年に誕生した材料エネルギー学部では、金属材料に加え、機能性材料、生体材料など広範な材料を対象とした教育研究を行っています。
今回は実験テーマとして、『チタン合金を作ってみよう』『和鉄に学ぶ鋼の防食技術』『医薬品(解熱薬)を合成してみよう』の3テーマを用意。
参加した学生は自分が取り組みたいテーマを選び、合計7グループに分かれて実験を行いました。
5日間の学習は、初日のガイダンスからスタートし、テーマに分かれて3日目までは実験。4日目に実験のまとめとポスター作り、5日目には発表という過密スケジュール。
担当教員やサポートの大学生と共に、大学の研究設備を使って実験や学習を深めていました。
最終日のポスター発表は次世代たたら協創センター(NEXTA)で実施し、教員や学生に加え自治体関係者なども参加しました。
発表中の質疑応答では、質問に答えるのに苦労しながらも、活発な意見交換がなされていました。
終了後参加した高校生からは、「文系に進もうとしていたけれど、とても学びが多く、参加して良かった。」
「普段の学校生活では行えないような実験や発表という機会は、たくさんの学びを得ることができた5日間だった」など感想が寄せられました。
短い時間でしたが、ご参加されたみなさんにとって、有意義な時間となりましたら幸いです。
実験テーマの担当と目的
グループ1 『チタン合金を作ってみよう』 若林 英輝 助教
チタンは軽量で強いために航空機などで用いられていますが、実際に使用されている材料の多くは,純金属のチタンではなく、別の金属を混ぜて合金化することで強度や耐腐食性などの特性を向上させたチタン合金です。
なぜ別の金属を混ぜるのかを、実際にチタンとアルミニウムを溶かしてチタン合金を作製し,その構造や特性を調べてみました。
グループ2 『和鉄に学ぶ鋼の防食技術』 菅原 優 教授
島根県には、日本古来の製鉄法である「たたら製鉄」が現在も息づいています。このたたら製鉄で造られる和鉄はとても上質で、さびにくいことが知られています。
本テーマでは、なぜ和鉄がさびにくいのかを学び、鉄鋼材料をさびから守る方法を考えました。
グループ3『医薬品(解熱剤)を合成してみよう』 崔 允寛 准教授
本実験の⽬的は、p-アミノフェノールをアセチル化することで、解熱鎮痛剤として広く利⽤されているアセトアミノフェンを合成することである。
この実験を通じて、基本的な化学反応の仕組みを理解し、⾝の回りにある医薬品が化学反応によって合成されるプロセスについて学ぶ。また市販されている解熱剤や頭痛薬に
アセトアミノフェンが含まれているかを調べることで、普段あまり意識することがない医薬品の有効成分に対する理解を深めてもらいたい。
発表準備と発表の様子