材料エネルギー学部 アントレプレナーシップ教育 最終発表会が開催されました

公開日 2024.01.30

 1月15日、島根大学材料エネルギー学部1年生による「アントレプレナーシップ教育」の最終発表会が行われ、1年間にわたって構想したビジネスプランの発表を行いました。

 

 昨年4月に新設された材料エネルギー学部の特色の1つである「アントレプレナーシップ教育」は、起業のための教育ではなく、学生と教員が大学の研究成果をいかに社会実装につなげるかというマインドとスキルを共に学ぶ教育であり、昨年7月に岸田首相の視察を受けるなど全国的にも注目されています。

 1年生は必須科目として「新材料・エネルギー技術で新たな社会を作り上げるアントレプレナーへの道」を履修し、約1年間をかけて材料エネルギー学部の教員の8つの研究テーマにもとづくビジネスプランを、17チームに分かれて考えてきました。

 

 発表会では、各チームが研究成果を誰(顧客)の、どのような悩みの解決に繋げるか、どういう製品・サービスとして提供すれば社会に貢献できるかという観点を踏まえ、1年間の事業化検討の結果を7分間で発表しました。各チーム、学生ならではの視点とアイデアだけでなく、多方面から分析・調査した結果を元に実現可能性も考慮した発表を行いました。

 また、各チームの発表の最後には、学生一人一人が1年間の活動を通じての感想を発表し、「授業を通して、自分には基礎的な知識が不足していることがよく分かった。今後勉強を頑張っていきたい」、「やりたいことを追求するだけでなく、顧客が何を求めているかを考えなければいけない」、「ビジネスとして持続的な収益確保が重要だと知った」など、様々な気付きや発見があったようです。また、「実際にどのように実証実験されるか現地で見てみたい」という好奇心旺盛な感想もありました。

 

 今回の発表会には、県内外9社の企業や自治体からも参加があり、企業・自治体の代表者の審査により、優秀チーム3チームを表彰しました。

審査を担当した企業からは、「社会に出てからも役に立つ新しい学びを実践しており、うらやましく感じた」、「企業や大学で研究を行っていると、社会に対してどれだけ貢献できるか、利益が出るのか、という視点が抜け落ちがちになる。学生の皆さんはそういった点を踏まえ、自分の言葉で熱意をもってプレゼンしている点が素晴らしかった」などといったコメントがありました。

 

 最後に本授業の講師である東京大学 宮脇守ディレクターは、「アントレプレナーシップの授業を通じて、大学の知見を活用した新しい技術で今までにないようなモノを作り、新しい産業の創出を狙ってほしい」と期待を寄せました。

 

 2年次には今回発表したビジネスプランをさらに具体化するために企業を巻き込み、想定される顧客へのヒアリング、簡易的な実験、さらには特許の作成などを経験する予定です。

 島根大学材料エネルギー学部では研究成果をどう社会実装につなげていくか、学生と教員が共に創造するチャレンジを今後も続けていきます。

 

  

 

  

 

  

 

  

 

■今回発表したビジネスプランテーマ (※【 】はテーマチーム名)

【MOF1】Niシリカ触媒で水素化が楽チンに!〜新触媒が日常に水素を届ける〜

【MOF2】ニッケルシリカ触媒を用いたリグノフェノールの分解 ~石油製品を植物で作ろう~

【Phase1】状態図が広げる材料の世界

【Phase2】第一原理計算による材料特性の予測を兼ねた状態図データベース

【Nano1】安い!強い!いっぱい作れる!Nano粒子​~生分解性マルチを作って農家さんの人手不足解消へ~

【Nano2】高周波熱プラズマ法によるナノ粒子からなる高機能Nanoコーティング繊維

【Ultra1】水道管交換・工事費用の削減のための超音波非破壊検査装置​リース

【Ultra2】水道管の突然の破断を防ぐ超音波を利用した非破壊検査ロボットの販売

【Tele1】対向レーザーの方向制御によるドローンを用いた災害時の通信網の即時復旧事業

【Tele2】センサーで人の行動履歴をデータ化し教育型AIで地方工場の人手不足を解消

【Energy1】ICE全廃!! EVピックアップトラック用の、溶射法を用いたレンジエクステンダーSOFC

【Energy2】売上10倍!養殖ヤマトシジミの売上54億円を目指す~島根大学の新規脱硫プロセスを使って~

【Energy3】耐C析出触媒を利用した持続可能な航空燃料(SAF)製造の共電解システム

【DDS1】膵癌のDDS×カテーテル治療〜膵癌治療のための組織浸透性抗癌剤修飾ポリマーのカテーテル送達〜

【DDS2】抗がん剤修飾ポリマーを利用した乳がん治療

【Glass1】非結晶構造解析とデータ活用の融合で日本の蓄電池産業を「プルス・ウルトラ」

【Glass2】お手軽アモルファス構造解析サービス~放射光施設でしかできらんかった分析をあなたと共に~

 

◎優秀3チームにはトロフィーが贈呈されました。 

・早期実現期待賞:【Ultra1】水道管交換・工事費用の削減のための超音波非破壊検査装置​リース

・サーキュラーエコノミー賞:【Energy2】売上10倍!養殖ヤマトシジミの売上54億円を目指す~島根大学の新規脱硫プロセスを使って~

・ユニークプレゼン賞:【Glass1】非結晶構造解析とデータ活用の融合で日本の蓄電池産業を「プルス・ウルトラ」